「専業主婦が在宅ワークをすると開業届が必要?」
「開業届を出すとどうなるの?」
在宅ワークをする専業主婦の方でこのようにお悩みの方はいませんか?
私は扶養内で在宅ワークを行う専業主婦でしたが、開業届を出すメリットが大きいことが分かり、開業届を提出して個人事業主になりました。
ただし、人によっては開業届を出すデメリットがあるので、慎重な判断が必要です。
この記事では在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットとデメリットを紹介します。
開業届提出の手順も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
開業届とは事業の開始を届け出る書類
開業届とは、個人や法人が事業を開始する際に、税務署に対して提出する書類です。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を提出すると、「個人事業主」の肩書きが得られます。
国税庁によると、開業届は継続的に事業を始める場合、事業を始めた日から1カ月以内に提出しなければなりません。
ただし義務とはいえ、1カ月以内に開業届を出さない場合でも、特別な罰則があるわけではないため、個人のタイミングで出すことが多いのが現状です。
開業届を出すベストなタイミングは、個人の状況によって異なります。
開業届を提出することで節税や社会保障のメリットを享受できる一方、人によっては扶養から外れる可能性があるなどのデメリットも存在するからです。
開業届を出すタイミングは、これから紹介するメリットとデメリットを知ったうえで判断しましょう。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出す4つのメリット
在宅ワークをする専業主婦が、開業届を提出して個人事業主になるメリットを4つ紹介します。
- 青色申告特別控除で節税ができる
- 保育園やこども園に入りやすい
- 屋号の口座が作れる
- 仕事として認められる
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット①青色申告特別控除で節税ができる
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットの一つは、「青色申告特別控除」を利用して節税ができることです。
青色申告特別控除とは、所得金額から10万円、55万円、65万円いずれかの控除が受けられる仕組みのことです。
「事業を営んでいる」「複式簿記により記帳している」「e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して確定申告を行なっている」などの一定の条件を満たせば、最大金額である65万円の控除が受けられます。
専業主婦が在宅ワークを通じて得た収入も、開業届をだしたうえで、「青色申告承認申請書」を提出することで控除の対象となり、所得税の負担軽減が可能です。
「青色申告承認申請書」を提出したからといって、絶対に青色申告をしないといけないわけではないため、開業届と同時に提出しておくことをおすすめします。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット②保育園やこども園に入りやすい
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットとして、子供がいる場合に保育園やこども園に入りやすいことも挙げられます。
在宅ワークをする子育て中の主婦の方には「子供が保育園に預けられないので、仕事量を増やせない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
開業届を出すと、収入の金額に関わらず「就業していること」の証明になるため、保育園や子供園の申し込みができます。
子供を保育園に預け、在宅ワークの時間をしっかりと確保することは、収入を増やすことにもつながるでしょう。
ただし、地域によっては開業後2年目以降は確定申告のコピーの提出を求められることもあります。収入が0円では就業の実態がないと判断されることもありますので、事前に保育園の申し込み窓口で確認しておきましょう。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット③事業専用の口座が作れる
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すと、事業専用の口座が作れることもメリットの一つです。
犯罪防止などの観点から、一人が開設できる普通預金口座は原則一つまでとされていますが、開業届を出して個人事業主となることで、事業用の口座が作れます。
これにより、個人と事業の資金を明確に分けられるため、会計管理管理や確定申告が楽になります。
さらに専用口座に紐付いたクレジットカードを作ると、事業関連の支出をまとめて追跡できるためおすすめです。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット④仕事として認められる
開業届を提出して個人事業主として認められることで、専業主婦の在宅ワークが正式な仕事として社会的に認知されるメリットがあります。
開業届を出せば個人事業主です。「職業は何ですか?」と聞かれた時に「自営業」「フリーランス」などと答えられます。
これにより、家族や周囲の人々に対して、在宅ワークに対する理解が深まり、尊重されることが期待できるのではないでしょうか。
また自分のモチベーションが上がることも。「在宅ワーク=仕事」という気持ちのけじめをつけることで、さらなる成長や独立した経済的自立につながることもあるでしょう。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出す3つのデメリット
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出す場合、人によってはデメリットが存在することもあります。
下記のデメリットが自分の状況に当てはまらないかを確認したうえで、開業届を提出するタイミングを判断しましょう。
- 夫の社会保険(健康保険)の扶養から外れることがある
- 失業保険が受けられない
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すデメリット①夫の社会保険の扶養から外れることがある
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出して個人事業主になると、収入に関わらず夫の社会保険の扶養から外れる可能性があります。
一般的に妻が夫の扶養に入る条件は、「妻の年間収入の見込額が130万円未満」であることです。この場合、開業届を出しても収入が増えなければ扶養から外れることはありません。
しかし社会保険の扶養に入る条件は、夫が加入する健康保険によって異なり、「個人事業主になると収入に関係なく扶養に入れない」と定められているケースがあります。
夫の社会保険の扶養を外れた場合、自分で国民健康保険と国民年金、40歳以上になると介護保険に加入しなければならず、収入にもよりますが年間20万円〜30万円程度の負担が増えます。
また夫の会社から扶養手当が支給されている場合も、扶養から外れると、受け取れなくなるでしょう。
そのため、扶養に入っている主婦が開業届を出す場合は、必ず夫の会社の社会保険の扶養条件を確認することをおすすめします。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すデメリット③失業手当が受けられない
正社員やパートとして働いていた方で失業手当を受け取っている場合、開業届を出すと失業手当が受けられなくなります。
なぜなら開業しているということは、失業手当受給の条件である「失業の状態」に当てはまらないからです。
例外として、収益が0円の場合は手当を受けられたという事例はありますが、不正受給だとみなされた場合ペナルティが課されます。
そのため雇用保険に入っていて失業手当を受ける見込みがある方は、開業届の提出を慎重に判断しましょう。
開業届を出す3つの手順
メリットとデメリットを理解して開業を決意したら、いよいよ開業届の提出です。
ここでは開業届を出す手順を紹介します。
開業届の提出は意外と簡単。用紙に必要事項を記入して最寄りの税務署に提出するだけで完了です!
- 必要書類を集める
- 必要事項を記入する
- 税務署に持参・郵送する
開業届を出すステップ①必要書類を集める
開業届の提出には下記の書類や道具が必要です。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書(提出する場合)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 印鑑
「個人事業の開業・廃業等届出書」は、下記の国税庁ホームページから、PDFファイルでダウンロードできます。
また「在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット」で説明した青色申告特別控除を利用するには「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。
提出したからといって必ずしも青色申告をしないといけないわけではないため、開業届と同時に提出しておくことをおすすめします。
「所得税の青色申告承認申請書」は、下記の国税庁ホームページからPDFファイルでダウンロード可能です。
最寄りの税務署で「所得税の青色申告承認申請書」や「所得税の青色申告承認申請書」をもらうこともできますよ。
開業届を出すステップ②必要事項を記入する
開業届が手に入ったら、必要事項を記入しましょう。
記入が必要な項目は下記のとおりです。
- 提出先と日付
- 納税地
- 氏名・生年月日・個人番号・職業
- 届出の区分
- 所得の種類
- 開業・廃業日
- 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 事業の概要
- 給与等の支払いの状況
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
- 給与支払を開始する年月日
- 関与税理士
開業届を出すステップ③税務署に持参・郵送する
必要書類の準備ができたら、住居地を管轄する税務署に持参または郵送で提出します。
住居地を管轄する税務署は国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」から確認できます。
持参の場合、税務署の開庁時間は8時30分から17時までです。土日・祝日など税務署の閉庁日は収受箱に提出することもできます。
一方郵送の場合、マイナンバーと本人確認書類の添付が必要です。
国税庁のホームページより「本人確認書類(写)添付台紙」をダウンロードしてご利用ください。
なお開業届は持参・郵送の他に、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で電子申告することもできます。
e-Taxでは確定申告もすることができるため、導入の検討もおすすめです。
在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットは大きい
この記事では在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットやデメリットを紹介しました。
【在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリット】
- 青色申告特別控除を利用すると、最大で65万円の控除が受けられる
- 子供を保育園やこども園に入れやすくなり、仕事時間が確保できる
- 事業用の口座が作れるため、収益や経費の管理をしやすい
- 仕事として認められるため、本人のモチベーションや家族の理解度が上がる
【在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すデメリット】
- 夫の社会保険(健康保険)の扶養から外れることがある
- 雇用保険に加入している場合、失業手当が受けられないことがある
人によっては開業届を出すデメリットもありますが、多くの場合、在宅ワークをする専業主婦が開業届を出すメリットは大きいといえます。
開業届を出すことが決まれば提出は簡単。
開業届を出して個人事業主になり、新たな気持ちで在宅ワークに取り組みましょう!